Inside Blue in Tokyo(x144)
We are wrapped in a blue star.
If we were a bud,
we would surrender ourselves
to the inner folds of a petal.
If we spoke of comfort,
we would entrust our hearts
to the depths of a shelter.
If we spoke of sleep,
we would sketch our thoughts
on the edge of consciousness.
But we have grown less likely
to look up at the sky.
Still, we dream of blooming once again—
like us,
who once were born
even though it came with risk.
インサイドブルー イン トウキョウ(x144)
私たちは、青い星に包まれている
つぼみでいえば
花びらの内側、身を委ね
安心でいえば
シェルターの奥底、心を預け
眠りでいえば
意識の縁で、思いを描いている
ただ、上を見上げることは少なくなった
だが、いつかまた咲くことを夢見ている
それは、産まれてきた私たちのように
たとえ、危険が伴うとしても
Category: Media Art
Medium: Digital Design, Generative Digital Mediam
Dimensions: H2160×W3840px
Date Taken: 2025.06.27 05:00-06:00
Location: Tokyo, Japan
Coordinates: 35.646544, 139.6532351
Engineer: Katsunori Isono
Collection: Private Collection
Year: 2025
※For best viewing, use a PC with GTX 1060 or better.
※鑑賞にはGTX1060以上のGPU搭載PCを推奨
作品解説 & インタビュー
最後に上を見上げたのは——いつだっただろうか
都会の暮らしのなかで、空の存在がふと遠ざかる瞬間がある。画面の中の情報や予定、社会のノイズに押されて、私たちはいつの間にか「空の色」を思い出せなくなっているのかもしれない——そんな問いが、本作『Inside Blue』の起点だったと作家は語る
「空を見上げなくなった自分自身、そして東京に生きる多くの人々の姿が重なって、ふと『人の本質』を描きたくなった。スマホばかり見ている私たちは、本当に空の色を覚えているのか? そんな問いから、自分がかつて“守られていた”時間のことも思い出しました」
本作は、東京を含む複数の地域で実際に撮影された空の色をもとに、各地を記録した映像作品である。今回定めた「青」は、一般的なHSB色空間における青の範囲よりやや広く、H(色相)200〜250°、S(彩度)70〜100%、B(明度)60〜100%の付近を指す。この定義に基づき、雲を含む最も明るい青と、最も暗い青を抽出し、段階的な色の変化として構成されている。映像は、144〜576個の正方形が常に入れ替わりながら、有機的にその「青」を映し出す構造となっている。空がまるでモザイクみたいに見えるのは、断片になった記憶の表れなのかもしれない。そこには、「人の“性(さが)”のようなもの」を描きたかったという、作家の意志が込められている
「生まれるということも、性(さが)というものも、本質的には『安全圏から外へ一歩踏み出す』ような行為だと思っていて。その目的には、変化や出会いへの期待があり、そこには美しさと危うさが共存していた」
作品のステートメントは、中谷ならではの詩的な言葉で綴られている。つぼみの花びら、シェルター、意識の縁…。それらは、包まれている状態として語られ、同時に「いつか咲く」という未来への意志に結びつく
本作は、ただ抽象的な映像詩ではない。空という普遍的な自然と、人間の内面にある「性」や「再生」の象徴を重ね合わせることで、現代における「希望」と「意志」の美しさを問いかけている。そして「咲くこと」は、必ずしも安全ではないが、それでも私たちが進もうとする姿勢そのものだと告げてくる
日々を覆う曇りのなかで、ふと立ち止まり、空を見上げる。その瞬間、Inside Blueは、私たちの中にある「咲きたい」という感覚を、呼び起こすのかもしれない
その問いかけのすべてが、存在、生と性、そして空との対話として、果てしなく広がっていた
Art Commentator: Y. Kato